薬膳の資格はどれがいい?薬膳資格の種類比較&一覧

未病ケアや食事での養生の意識が高まりから、薬膳の資格取得に興味を持つ方が増えているようです。

薬膳の資格には、学校が発行するもの、企業や団体が発行するもの、学会が発行するもの、個人が発行するもの、通信教育で取得できるものなど様々で、名前も似通っているのでどの資格を取得すべきかよくわからない方も多いと思います。

そこで、本記事では薬膳に関する資格について解説し、認知度が高いと思われる資格について一覧にしてまとめてお伝えします。

薬膳の資格の種類と分類|それぞれの違いは何?

知っておいていただきたいのは、薬膳の資格は国家資格ではなく、技術や知識を認めた能力認定資格です。また、医師や看護師のような業務独占資格ではありません

そのため資格取得が直ちに仕事につながるものではないので、薬膳関連の資格をただ所有したいのか、専門性と権威性をもって仕事に使いたいのかによって、選ぶべき資格は変わってくると思います。

①公的・学術団体系の資格

まず、最も薬膳資格の中で学問的な位置づけが強く、履修時間も長いものに「中国の学会や日本の学術団体が関与している薬膳資格」があります。

私の取得している国際中医薬膳師もここに含まれて、年単位で学校に通ったり少なくとも数百時間程度の履修時間が必要なものが多いです。学術的な権威性や信頼性が高く、取得難易度も高くなります。

  • 国際中医薬膳師(日本中医学院入学、認定資格は中国中医薬研究促進会が発行)
  • 国際薬膳師(本草薬膳学院入学、認定資格は日本国際薬膳師会が発行)

私もそうですが、資格を取って終了ではなく、卒業後も日本中医学院の研究課程で薬膳について学ぶ人も多く、資格取得を目的とするというより学術的に中医学・薬膳の知識を極めて仕事に活かすことを考えている人が多いです。

国際中医薬膳師に関しては、私が取得している資格なので以下の記事でも詳しくご紹介しています。

本草薬膳学院で取得できる国際薬膳師の資格については、かつては中国薬膳研究会が資格の発行元だったのですが、2024年からは日本国際薬膳師会が発行元になり、中国本部の特設関与は終了しています。

※国際中医薬膳師資格の取得に関しては、次の②のルートもございます。

②日本国内の学会・団体が独自に設けた資格

  • 日本中医薬膳師中医薬膳指導員薬膳アドバイザー(日本中医食養学会)

日本中医食養学会が主催する講座を履修して得られる資格がいくつかあります。
この学会では認定試験が不要な「薬膳アドバイザー」や、中医薬膳指導員、日本中医薬膳師など、同一学会内でいくつかの薬膳関連の資格があります。

日本中医食養学会は、日本中医学院を母体とする教育機関です。

初級の薬膳アドバイザーから段階的に上級講座にステップアップする形式になっていて、最終的に最上級である「国際中医薬膳師」の資格を取得するまでに3段階以上のステップアップが必要です。

薬膳アドバイザーからステップアップして、国際中医薬膳師の資格を取るためには、日本中医食養学会の中医薬膳指導員資格を取得し、学会主催の追加講習30時間と日本中医学院主催の追加講習30時間を履修することで受験資格がもらえます。

最初から国際中医薬膳師の資格を目指す場合は、日本中医学院に入学して1年間学ぶか、日本中医食養学会のコースを受講しステップアップする2パターンがあります。

日本中医食養学会経由で国際中医薬膳師資格を取得した場合、資格の認定機関は「世界中医薬学会連合会」になります。

③通信教育講座系の資格

通信教育の会社やカルチャー団体が発行する薬膳資格はここに含まれます。
認定試験の無いものや、在宅で試験が受けられるものなど、取り組みやすさや価格の安さがメリットですが、専門職としての資格というより「学習の証明」としての位置づけが強いです。

  • 薬膳マイスター(がくぶん)
  • 和漢薬膳師(和漢薬膳食医学会/※薬膳マイスター終了後に申請で取得)
  • 薬膳コーディネーター(ユーキャン)
  • 薬膳インストラクター(JAPD:日本能力開発推進協会)
  • 薬膳調整師(JSFCA:日本安全食料料理教会)
  • 漢方コーディネーター(SARAスクールなどの通信教育講座)

私もユーキャンの薬膳コーディネーターの資格を持っていますが、既定の履修時間が必要というワケではなく、人によって4か月で合格する人もいれば、1年かけて取得する人もいます。認定試験はありますが、在宅で受けられるので教科書などを見ながら回答することもできます。

ただ、短期で学ぶ分、概念的な理解が必要な中医学の範囲は難しく感じると思うので、途中で挫折する人も少なくないと聞きます。ユーキャンの薬膳コーディネーターについての私の意見をnoteで書いたものもありますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

ややこしいなと思うのが、和漢薬膳師は和漢薬膳食医学会が発行している資格ですが、薬膳マイスター資格を通信で取得した方が、お金を払って申請をすれば発行してもらえる資格なので、薬膳マイスターと知識的に何か差があるわけではないというところ。

学術的な面では通信でとる資格と変わらないと考えて、和漢薬膳師は②ではなく③に入れました。

④個人やスクール独自の資格

実は、「〇〇薬膳師」のような資格を作るのに法的な規制はないので自由に作ることができてしまいます。

薬膳師さん個人が主催する薬膳講座を履修した証として、オリジナルの資格を取得できるというような講座も沢山あるんです。これらはそのスクールの修了証の位置づけなので、社会的通用度合いは低いです。

薬膳の資格一覧

資格名 受験資格 学習目安 費用 発行団体 難易度 認定試験の有無 公式情報
国際中医薬膳師 日本中医学院の中医薬膳専科修了 約800時間(1年間) 要問合せ 中国中医薬研究促進会 / 日本中医学院 あり(年2回・試験2日間) 日本中医学院(試験案内)
国際薬膳師(士) 本草薬膳学院「中医薬膳師」取得者 中医薬膳師修了後、認定試験受験 要問合せ 日本国際薬膳師会 / 本草薬膳学院 中〜高 あり(認定試験あり・実施要項あり) 本草薬膳学院(試験実施案内)
中医薬膳師(本草薬膳学院) 学院の所定課程修了(課題提出・卒業試験合格で認定) 通学・通信・オンライン(コースにより異なる) 通信169,400円+スクーリング80,880円(公式PDF) 本草薬膳学院 あり(小テスト提出+卒業試験で認定) 本草薬膳学院(中医薬膳師コース)
日本中医薬膳師 学会指定カリキュラム300時間修了 300時間(中医基礎〜弁証施膳) 要問合せ 日本中医食養学会 あり(認定試験あり) 日本中医食養学会(日本中医薬膳師)
中医薬膳指導員 学会指定カリキュラム120時間修了 120時間 要問合せ 日本中医食養学会 低〜中 あり(年1回の認定試験あり) 日本中医食養学会(指導員)
薬膳アドバイザー® 学会指定40時間修了(登録機関での履修可) 40時間 要問合せ 日本中医食養学会 なし(履修後に申請で無試験認定) 日本中医食養学会(アドバイザー)
薬膳インストラクター(JADP) 指定教育機関の全カリキュラム修了 講座による(通信ベースが主流) 受験料5,600円(公式) 一般財団法人 日本能力開発推進協会(JADP) 低〜中 あり(在宅受験:検定問題発送・答案提出型) JADP(薬膳インストラクター)
薬膳調整師®(JSFCA) 指定認定講座の修了(受講後申請) 標準2〜6か月(講座による) 受験料等は公式参照(講座での案内あり) 一般社団法人 日本安全食料料理協会(JSFCA) あり(在宅受験・受験料/合格基準は協会公式に明記) JSFCA(薬膳調整師)
薬膳マイスター®(和漢薬膳師) がくぶん講座修了(修了課題/試験あり) 標準4か月(サポート10か月) 39,900円(がくぶん公式) 和漢薬膳食医学会(認定) / がくぶん(講座提供) 低〜中 あり(在宅の修了認定試験あり。70点以上で合格) がくぶん(薬膳マイスター)
薬膳コーディネーター(ユーキャン) 受験資格なし(ユーキャン講座修了で受験可) 標準4か月(最長12か月サポート) 44,000円(ユーキャン公式) ユーキャン(講座) / 本草薬膳学院(監修) あり(在宅試験:60%以上で合格、再受験可・教材参照可) ユーキャン(試験ガイド)
漢方コーディネーター(SARAスクール等の通信講座) 通信講座修了(講座による) 標準6か月(最短2か月) 59,800円〜79,800円(コースにより) SARAスクールジャパン / 指定認定団体 あり(在宅受験。プラチナコースは卒業課題で試験免除のケースあり) SARAスクール(漢方薬膳講座)

(※2025年独自調べ:内容が変更になる場合もあるのでご注意ください)

最後に

薬膳に関する資格は沢山ありますが、日本中医学院を卒業後も研究課程で学んでいる私の感想としては、中医学・薬膳はとても奥が深く、とても数年で実践に活かせる知識が得られるとは思えません。

私が学んだ日本中医学院の先生たちも未だに学び続けていますので、薬膳を仕事にしたい場合は「資格を取る」ということよりも、学び続けるつもりで通信教育以外の選択肢から選ぶことを強くおすすめします。

ただ、「数年単位で高いお金を払って学ぶ時間もお金もない」「ひとまず薬膳に興味が出たから何かしら学んでみたい」「学んだ証に薬膳の資格が欲しい」という方は、通信教育でも良いかもしれません。

私も最初は薬膳コーディネーター(ユーキャン)から始めましたが、実は若干挫折しました。疑問が山のように湧いて出てきて、その都度質問メールを送ったのですが理解することができず、結局は日本中医学院に入学し、同時進行で学ぶことでようやく理解できたという経緯があります。(※詳しくは⇒こちら

その経験から、私はnoteで500円から学べるメンバーシップを始めました。

分かりにくい中医学についての理解が進むよう、メンバーの方には沢山質問をしていただいて活用していただければと思っていますので、まずは一度私のnoteを見に来ていただけると嬉しいです。

note薬膳メンバーシップを始めた経緯と、メンバーシップでできること

⇒ note記事を見てみる

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